専任技術者の実務経験年数

許可を受けようとする業種について、専任技術者になるために必要な実務経験は次のとおりです。

  • 高校の所定学科卒業後5年以上の実務経験
  • 大学の所定学科卒業後3年以上の実務経験
  • 10年以上の実務経験

この実務経験の期間は、具体的に建設工事に携わった実務の経験で、その経験期間を積み上げ合算した期間とされています。

また、一部の専門工事については、経験期間に算入できる実務経験が限定されているものがあります。それは、例えば次のようなものです。

・電気工事、消防施設工事においては、電気工事士免状、消防設備士免状などの交付を受けた者等として従事した実務経験のみ。

・建設リサイクル法施行(平成14年5月30日)後の解体工事においては、とび・土工工事業許可または建設リサイクル法に基づく解体工事業で請け負った工事の実務経験のみ。

 

10年以上の実務経験について

一般建設業の許可を受けようとする場合に、専任技術者を営業所ごとに置かなければいけません。

その専任技術者になれる要件のひとつに、

「許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、10年以上実務の経験を有する者」というのがあります。

そして、これを証明するために許可申請では「実務経験証明書」を提出することになっていますが、これを証明するのがなかなか難しい場合があります。

特に自営でやってこられた事業者の方で多いのですが、自分が手掛けた工事名やその仕事に従事していた期間がわかる書類などが無い場合があるからです。

そうなるとあいまいな記憶に頼るしかなく、思い出せないとお手上げという場合も出てきます。ですので、請求書の控え等でも良いのですが、一番いいのはきちんと工事名や従事した期間がわかる工事台帳のようなものをつくっておく必要があります。

また、会社に雇われていた人でも、建設会社をいくつも渡り歩くと、辞めた会社に証明してもらわなければなりませんので少々やっかいです。

おまけに、同業者の証明も取らなければいけませんので、快く証明してくれる同業者がいないと困ることにもなります。

最近は、この実務経験証明書のチェックが厳しくなっていますので、普段からきちんと自分の手掛けた仕事の記録を残しておくべきだといえます。

 

業種ごとの緩和措置

ところで、この10年以上の実務経験ですが、平成11年の法律の改正により、一部の業種については、この実務要件が緩和されています。

許可を受けようとする業種について8年を超える実務経験と、その他の業種の実務経験を合算して12年以上あれば良いというものです。

許可を受けたい業種で10年以上の実務経験がないからといって早合点せずに、よく調べて確認する必要があります。

実務経験だけで専任技術者になろうとすると、その業種について、原則10年以上の実務経験が必要となります。しかし、現在では、一部の業種で10年以上という要件が緩和されています。

それは以下の場合です。

1.「とび・土工・コンクリート」「しゅんせつ」「水道施設」工事業

この3つの工事業については、土木一式工事業との実務経験を合算して12年以上となり、かつその業種の実務経験が8年を超える場合

 

2.「大工」「内装仕上」工事業

この2つの工事業については、建築一式工事業との実務経験と合算して12年以上となり、かつその業種の実務経験が8年を超える場合

大工工事業または内装工事業の実務経験と合算して12年以上となり、かつその業種の実務経験が8年を超える場合

 

3.「屋根」「ガラス」「防水」「熱絶縁」工事業

この4つの工事業については、建築一式工事業との実務経験とを合算して12年以上となり、かつその業種の実務経験が8年を超える場合

 

4.「解体」工事業

土木一式工事業、建築一式工事業または、とび・土工・コンクリート工事業と解体工事業の実務経験を合算して12年以上となり、解体工事業の実務経験が8年を超える場合

 

以上のような場合には、実務経験がその業種のみで10年以上なくても、その業種について専任技術者になることができます。ですので10年以上実務経験がないからといって諦めないでください。

ただし、業種が限定されていますので、よく確認してくださいね。