解体工事とは

「土木工事業」「建築工事業」のいずれかの許可を得ている場合には、解体工事業の登録は不要ですが、それは何故でしょうか?

これは、「解体工事」の考え方にあります。

つまり、総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物や建築物を解体する工事は、それぞれ土木一式工事や建築一式工事に該当するからです。

例えば、高層ビルの解体工事は解体工事でありながら建築一式工事ですし、解体工事と立て替え工事を一体で請け負う工事も建築一式工事とみなされます。

またこれと同じ考えで、各専門工事において建設される目的物について、それのみを解体する工事は各専門工事に該当します。例えば信号機のみを解体する工事は「電気工事」に該当するのです。

では一般的にいう「解体工事」とは何なのかというと、これは家屋等の解体工事を指します。

このようにひと口に「解体工事」といっても、色々な捉え方があるわけです。

また、今回の法改正で、新たに「解体工事業」ができ、「とび・土工工事業」と分離されました。これは、従来「とび・土工・コンクリート工事」の中に、「工作物等の解体等を行う工事」が含まれていたのですが、これが削除されたためです。

つまり、「工作物等の解体等を行う工事」は、「とび・土工・コンクリート工事」ではないとされたのです。

このように、ひとくちに「解体工事」といっても、色々な捉え方があるので、注意しなければいけません。

建設業許可の「解体工事業」

これまで工作物の解体工事は、建設業許可の業種のひとつである「とび・土工工事業」に含まれていましたが、平成28年6月1日からは「解体工事業」という独立した許可業種が新たにできました。

ですので、平成28年6月1日以降に解体工事業を営む業者の方は、原則「解体工事業」の建設業許可が必要となりました。

ただし、経過措置として、平成28年5月31日時点で「とび・土工工事業」の許可を受けて解体工事を行っている場合には、3年後の平成31年(令和元年)5月31日までは解体工事業の許可を受けずに工作物の解体工事を請け負うことができました。

しかし、令和元年6月1日以降は、「とび・土工工事業」の許可では、請負金額500万円以上の解体工事はできなくなりました。

しかし、軽微な解体工事なら、次の解体工事業者の登録をすればできるようになっています。

解体工事業者登録

軽微な解体工事をのみを請け負う場合には、その解体工事業者は、解体工事を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければなりません。これは「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」(略称「建設リサイクル法」)の規定によるものです。

軽微な工事とは、次のような工事です。

  • 請負金額が500万円未満の工事
  • 建築工事の場合は請負金額が1,500万円未満、または延べ面積が150平方メートル未満の工事

ただし、次のいずれかの場合には、この登録が不要です。

  1. 「土木工事業」の建設業許可を受けている。
  2. 「建築工事業」の建設業許可を受けている。
  3. 「解体工事業」の建設業許可を受けている。
  4. 平成28年6月1日時点ですでに「とび・土工工事業」の建設業許可を受けている。

注意しなければならないのは、4の場合、平成31年5月31日までです。

平成31年6月1日以降は、軽微な解体工事のみを請け負う場合は、解体工事業の登録が必要となります。またそれ以外の大きな解体工事を行う場合には、「解体工事業」「土木工事業」「建築工事業」のいずれかの建設業許可が必要となります。

これは、平成28年6月1日から新たに解体工事専門の「解体工事業」という建設業法上の業種が出来たためです。この「解体工事業」の建設業許可があれば、解体工事業の登録は必要ありませんし、軽微な解体工事以上の大きな解体工事を請け負うことができます。

ですので、大きな解体工事を請け負うとする解体業者の方で、「土木工事業」や「建築工事業」の許可を持っていない場合、「解体工事業」の建設業許可を取らなければいけません。

このように法律が改正となり、解体工事業は現在分かりにくくなっていますので、お気軽に当事務所にご相談ください。