平成28年6月1日から施行された解体工事業に係る法改正に伴う経過措置には、技術者要件に関するものもあります。
技術者要件に関する経過措置
1.令和3年3月31日までの間は、とび・土工工事業の技術者も解体工事業の技術者とみなし、営業所の専任技術者や工事に配置する主任技術者になることができます。(ただし、平成28年5月31日までに要件を満たした者に限られます。)
2.法施行後のとび・土工工事の実務経験は、旧とび・土工工事のすべての実務経験とする。
3.解体工事の実務経験年数は、旧とび・土工工事の実務経験年数のうち解体工事に係る実務経験年数とする。
上記2、3はどういう意味かといいますと、例えば、法施行前のとび・土工工事の実務経験年数が9年として、そのうち3年が解体工事の実務経験だとすると、法施行後は、
- とび・土工工事の実務経験年数は9年
- 解体工事の実務経験年数は3年
とみなされるということです。
つまり、とび・土工工事の実務経験年数は、9年-3年=6年ではなく、解体工事も含めたすべての9年と認めてもらえるということです。
また、一つの契約書で解体工事以外の工事もあわせて請け負っているものについては、当該契約の工期を解体工事の実務経験年数とします。ただし、これは法施行前までの経験に限ります。
これは例えば、家屋の解体工事と盛土・造成工事を一つの契約で請け負った場合、全体の工期が1年で、うち解体工事の工期が2か月だった場合、1年間を解体工事の実務経験年数とみなすということです。
以上のように、今回の法改正による経過措置については、わかりにくいところがありますので許可行政庁に確認することが必要です。
経過措置に対応した有資格区分コードの記入
解体工事業の業種追加申請や般特新規申請の際に、有資格区分コードを記入する必要のある様式があります。例えば、次のような様式です。
- 様式第1号別紙四
- 様式第8号
- 様式第11号の2
解体工事業の資格者については、令和3年3月31日まで経過措置が取られますので、その経過措置に対応した資格区分コードを記入しなければなりません。
これはどういうことかというと、解体工事業の資格者としての要件は満たしていないが、施工日時点(平成28年6月1日)で「とび・土工工事業」の資格者としての要件を満たしており、解体工事業の技術者としてみなされる人がこれに該当するということです。
このような人の場合は、通常の資格区分コードの下に(附則第4条)と記載されているアルファベットと英数字の組み合わせの方のコードを書かなければいけません。
ここでいう附則第4条とは、建設業法施行規則の附則第4条のことです。この第4条がすなはち技術者の資格の経過措置について規定している条項です。
ですので、申請書類を記入する際には、専任技術者になる人の資格がこの資格区分コードに該当していないかどうか注意する必要があるというわけです。